父の知り合い医者連中の中で唯一まともな医師と話してわかったのは
自分が望むような施設、いまの自宅よりましな場所が見つかることはそうないということ。
ときどき認知が不明瞭になるいまの祖父を受け入れてくれる病院は
一般病棟じゃなく地方病棟だということだった。
実家周辺の地方病棟といったら悪名高いガチの精神病院しかない。
子供の頃「悪いことをしたら入れる」とよく脅されたあの病院群。
自宅の対応は酷いとわたしは思うし、祖父も辛がっている。
食事は「そりゃ貧血にも便秘にもなるよ、飲み込めないよ」というものばかり出る。
だから妹とわたしは祖父がどこかまともな病院に入院することを望んでいた。
でもそんなとこ、ないんだよね。たぶん。
何より祖父が住みなれた自分の部屋にいたいんだから。
わたしもどこかにいるすばらしい専門家に問題を丸投げしたかったんだと気づいた。
当事者意識を持たないとなと思った。
