三日前はびっくりするような暗い顔で
「情けない亡者やもんなあ」
「地獄へ行く亡者の記というものを書いてごらん」
と言っていた。
今日は
「早くようなろうと思っとります」
「座る練習をして、立つ練習をして、歩く練習をしようと思っとるよ」
といつもの祖父らしい穏やかな表情で言っていた。
「よくなったら何がしたいの?」
と聞いたら
「何ということもないよ。みんなにお別れの手紙を書かなならんと思ってね」
と言っていた。来年98歳になるまで生きると言っていたのに。
祖父が決めたときに終わるんだろうと思うけど
そのとき安心して満足して幸せでいてほしい。
一方実母ちゃんの母である祖母98歳は末娘宅の離れで未だ自炊している。
「年寄りを甘やかさないでください」
が口癖。洗濯もこだわりがあって断固二層式。家政を制する者が勝つ。
