小学生のころ「香りつき誕生石シール」というのが文具店に売っていたことがあった。
そして11月の誕生石はトパーズであった。
そのころは花といえばかすみ草、宝飾品といえば真珠、色なら淡い桃色がいいと思っていたので
6月の真珠がとてもうらやましかった。6月にはふたご座が入っていて、わたしはふたご座にも憧れていた。
雑誌の後ろの占いコーナーではおとめ座やふたご座はかわいい女の子の絵で
さそり座は虫みたいな、時には目すらない何を考えているかもわからない節足動物が描かれている。
トパーズって。古い家に住んでいるおばあさんみたいだ。ちっともかわいくない。ああ。
同じ時期に誕生花や花言葉も流行った気がするんだけど、なんだったか覚えていない。
たぶんチューリップやバラなんかじゃなく、菊とか百合とかかわいくないやつだったと思う。
加えて母は日ごろからわたしにピンクを買い与えないようにしており
服や小物には暗めの真紅か深緑、夏には紺色の服が多かった。
わたしはサンリオのキキ・ララに熱烈に焦がれたけれど、持ち物にキキ・ララカラーは一切なかった。
「香りつき誕生石シール」の6月は水色に真珠の写真がプリントされていた。いいなあ!ふたご座!
一方11月のトパーズは黄土色がベースであった。黄土色!色鉛筆、クレヨンセットでいちばん嫌いな色だ。
かわいい女の子はいいな。
なんで指定されるのがみんな渋い色、強烈な色、強そうな花や一癖ありそうな石なんだ。
大人になったいま、自分は明らかに真珠よりトパーズ、薄桃色より濃い赤や紺が似合うし
モチーフなら愛らしい少女や少年より節足動物だろうと思うし
花なら百合のような大きくてはっきりした花に例えられることが多い。
幼いはてこちゃんは気の毒だけど、ああいうのは、馬鹿にできないなと思う。
卵が先か鶏かわからないけれど。でもかわいそうだから小さい間だけでもキキ・ララを買ってあげたい。
