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くたびれ はてこのことを語る

「いいお話はたくさんおありだったでしょう?」
「そりゃあったけど、嫌だったの。あのころ東大を出た上司がいてね、背が高くて眼鏡をかけていて、きりっとした素敵な人。私はその人がすきだった。副頭取にまでなって、去年亡くなったんだけれど、〇〇銀行元副頭取ってちゃんと新聞に出たのよ」
「そんな素敵な方がお好きだったら他はかすんで見えちゃいますね」
「そう。素敵な人だったわ。結局一人暮らしでしょ。寂しいわよ。食事だって」
「いい方いらっしゃるんじゃないですか」
「そりゃ声かけてくるじいさんはいるけど、この歳で男の人の世話するなんてイヤよ」

やはりいくつになってもいる人にはいる。

「お世話しなくたって、彼氏作ってお付き合いするだけでいいじゃないですか」
「もうそんな歳じゃないわよ。86よ」
「兄嫁のお母様はご主人がお亡くなりになってからボーイフレンドを作って、二人で兄を歓迎してくれました。兄嫁は私と同じ年です」
「あら!まあ、そうなの?そうねえ。私も男の人にしかできないことはやってもらうけどね。電気が切れたら呼ぶのよ」

さっすが。