id:kutabirehateko
くたびれ はてこのことを語る

昼時の蕎麦屋で相席を頼まれました。

向かいに座った老婦人は紫の帽子に紫のフレームの眼鏡、落ち着いた色のペンダントとお洒落な方です。
「すてきなお帽子ですね」と声をおかけすると「あらやだ、私もう86なのよ」とおっしゃいます。
「私ね、女学校を出てから昭和56年まで銀行に勤めていたの。いまはそのときの年金で暮らしているの」
「悠々自適ですね」
「寂しいものよ。私は所帯を持ったことがないの。だから人には『古いけど、新品です』って言うのよ」
老婦人はすましておっしゃいました。