実母宅で菊池寛の「奉行と人相学」の話をしていた。
「最近テレビでやってるじゃない、鳥栖で何人も殺した夫婦の話」
この時点で、入っていた炬燵の膝もとに何か這いよってくる気配があった。
「あの事件の奥さんだってすごくきれいな人でしょう、びっくりよね」
「そうなんだ?」
「でも、驚いたのはあれが映画とそっくりだったことよ」
「それ、ペットショップの夫婦が主人公の映画?」
「そう、そう!あれとそっくりだって・・・」
園子温の精神的ブラクラ映画やん。
「ちょっと待って、どこで観たの」
「え?」
「あれ普通に借りてくる映画じゃないし、偶然目にする映画でもないよね」
「・・・どこだったかしら・・・そうそう、ネットで観たんだわ」
あなた、スプラッタとかホラー大嫌いですよね?
無料で公開してもなくない?
「あれも実話を基にした映画だよ」
「そうなの?その話と同じで・・・」
「この話、やめよう」
「・・・う、うん」
膝の上に頭を乗せた何かがこっちを伺ってる気配がすごかったんです。
もっと怖かったのは、母が言っている
「最近テレビでずっとやってる鳥栖のペットショップの殺人事件」
に該当する事件が、検索しても見つからないことです。
[オカルト部]
