もちおは日頃、妻をいじめる人は絶対に許さない方針なんだけど、姑である妻実母に対してはその悪意にまったく気づかず、わたしが悪く取ってるみたいな雰囲気になる。ものすごく気持ち悪い。
そもそも母は周囲に気付かれないような意地悪をするのがとても上手い。話の輪から人を外す、加わってきたら話を遮ったり貶したりする、不調の訴えを無視する、咎められると「言いがかりをつけられたけれど事を荒立てたくないから私が我慢します」風にしょげて見せるなど周囲を味方につけて的を欠けた相手が周囲から槍玉にあげられるように仕向けて行く。
いま思えば父のこともそうやって子供ら全員から敵と思われるよう包囲を狭めていた。離婚に至ったとき子供らが全員父の元に残ったことは屈辱であったと思う。実際子供らは父を擁護することは母を裏切ることだと思い、父を愛することに罪悪感を背負って生きていた。
父は暴力癖があり、飲酒もすごいし不倫もしていた。でも、母が父に対してやった名状しがたい精神的なDVは法の下に裁けないだけで父のしたことと甲乙つけがたいくらい酷い物だっただろうといまになって思う。母は娘に対してやったことを父に対してもやっていた。わたしたち子供や周囲の人たちにはすぐに気付けない方法で。
母はただただ傷ついていたから家出を繰り返し、子供らの前で涙を抑えきれず号泣し、浮気相手の家に子供を連れて行ったり、父の友人に相談をもちかけたりしたのではないだろうといまは思う。あれはかなりの部分政治的なパフォーマンスだった。父の方を持つことは悲劇のヒロインである母を見殺しにし、裏切ること、道義的に許されないことという空気があった。悪いのは100%父、母は完全な被害者という構図だった。
あのまま行ったら父の人望は親兄弟実子含めて周囲の人望は母によって完全に損なわれていただろう。
そこに継母ちゃんがやってきて、人間なんて誰も不完全なものだ、喧嘩なんかどの夫婦だってする、あなたのお父さんは最高、あたしの夫は世界一と言い出し、母の計算は完全に狂った。そりゃあ継母ちゃんが憎いよね。でも仕方がないよ。離婚するって言ったのはあなたなんだから。
