手短に書きます。
落語を聞きに行ったら桟敷席に案内されました。
椅子が一列、ステージに向けて斜めに設置されています。
その桟敷部分に、後ろの男性が位地的にわたしの陣地に該当するあたりまでいろいろ並べてくるんですよ。
一番わたし寄りのところには、剥して畳んだ絆創膏。汚い。不衛生。捨ててほしい。なぜ並べた。
その隣はシェル型の、いわゆるカパカパガラケー。これを開いた状態で設置。
携帯の電源オフを再三再四枕で盛り込んでいる落語でなぜ携帯を置く。
画面は暗くなっていますが、電源入ってないならなぜ並べる。
そしてそいつはわたしの席の真横あたりまでどーんと脚を投げ出してくるんです。
なんだかこう、椅子ごと彼の脚の間に挟まれている感じ。胡坐に座らされている感じ。なにこれ。
そんで落伍中がさがさがさがさ動いているんです。わたしの椅子にがたんと当ったりして。
思わず振り返ったわたしに気弱げに謝ってきますが、止めない。
なんだかな、と思いながら落語に集中しようとがんばっていた中入り後。
ふと彼の携帯のバックライトが光っているのが目に入りました。電源入れてるのかよ!
携帯画面には横スクロールで何か文字が流れています。
「困ってる顔かわいい。もっと見せて。マジメな」
彼は故意に迷惑行為を続け、携帯にわたし宛てのメッセージを流していたのでした。
ゾッとして続きの文字を読む前に視線をステージに逸らしました。
こうなると椅子の背もたれに寄りかかるのもおぞましく思えて
「あー落語が面白くって夢中になっちゃう」
という体で身を乗り出して話を聴きました。
ふと気づくとそいつは身を乗り出す体で私の席に顔を出す形でこっちに寄ってきています。
おまえ、いい加減にしろ。こんな時「ピカチュー!10万ボルトだ!」と言えたらどんなにいいか。
でも噺の最中がたがた言うと、わたしも周りのお客様にとって迷惑な人になります。
ああもう!と思いながら無抵抗で最後まで黙っていました。
全席指定、大半は中高年という寄席でこんな目に遭うとは思いもよりませんでした。
本当に、どこにでも変態行為に勤しむ人というのはいるものですね、ガッデム!
