継母ちゃん。父から借りた車が車上荒らしに遭って以来の電話。
「あんた最近来ないじゃない、どうしてるの?荒らされた車はこっちで直してるのよね、どうなった?」
「警察はオーディオナビの型番と固有識別番号で捜査するって言ってた」
「それで?」
「でも車検証と一緒に入ってた識別番号を控えた紙も抜かれてたんだよね」
「あら!プロだわ」
「うん、修理工場の人もそう言ってた。前に盗難にあった人もそうだったって」
「プロよ、プロ。プロのお仕事だわ。アハハ!そんなの探して出てくるわけないじゃない!」
「そうだねえ」
「そーよ!アハハハハハ!」
「・・・こういうとき、継母さんがうちに嫁に入ってくれて本当によかったと思う」
「あらそう?どうして」
「こういうとき仕方ないじゃないで笑ってすませる考え方もあるんだなと思って」
「だーってしょうがないじゃないよ、盗られちゃったものは。物盗られたくらいで気にしてたら仕方ないわよ。
車の部品なんてどうてことないわよ。別に命盗られたわけじゃないんだから」
「そうだね、強盗に遭ったんじゃないものね」
「はてこ弟が『姉貴、落ち込んでた』って言ってたけど、車の物盗られたの傷つけられたのなんか気にすることないのよ。
盗られる物があったんだから幸せなことよ。盗る側じゃなくてよかったわよ、惨めなもんよ、人の物を盗らなきゃならないなんて」
「もう駐車場解約しようかと思ってたんだけど」
「そーんなこと言ってたら何も持てないわよ!あったら便利なんだから使いなさいよ」
いつも心の中にある継母ちゃん名言集に控えておこうとおもった。
