美術館の長谷川博己〜急
熱弁を振るう長谷川博己の腕を取って、なんとか美術館表の庭園まで連れ出し、視線を外れないように気をつけながら(なにしろ、ずっとこちらの目を見て話すのです)自販機でお茶を買い、手渡し
「ありがとう」
「いえいえ」
「いいですか?あなたは、クッキーを買って家に帰り、お茶を飲み、チラシを見て、あぁ楽しかった、いい一日だったわとかなんとか思い、それをSNSに上げたりして、それで満足なんですか?ここから持ち帰るべきは云々」
と、今日の展覧会の解説が始まりました
とても詳しく面白くわかりやすい解説だったため、自然と引き込まれ、ベンチの周りにもいつしか聴衆が集まるようになっていました
「以上です」
長谷川博己による学芸員のようなトークが終わり、聴衆も去り、「ためになるお話をどうもありがとうございました」とお礼を言うと
「いえいえ。君には借りがありますから。僕は借りを作るのは嫌いです。時に、次はいつ来るのですか?」
「いつというと…、この展覧会には、もう来ませんけど。よくわかるお話もうかがったし…」
「なんということだ!君は後期展示予定の◯◯を見ずして、この展覧会を観終わったつもりなのか?いいですか?後期展示の◯◯は…」解説再び、そして
「展示入れ替え直後は混んでいるから、その翌週がいいでしょう。開場前から並ぶ人もいますが、平日の夕方も比較的空いています。つまり、再来週の木曜日ですね。いいですか?昼食は済ませて、14時にここで会いましょう。」
「はい?でも」
「何か予定が?」
「ありません」
「結構。では、私は会場に戻りますので」
「え?」
「大丈夫。再入場の手続はしてありますので」
「でも、もう17時過ぎていますけど」
「なんだってーーー!!」
この人は私にお礼を言うためだけに、再入場手続を取って出てきたんだぁ…
でも、ダメ人間だな…
雪杯×すのう!のことを語る
