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ゆきのことを語る

菫で思い出したこと。

高二がいちばんきつかった。
選択授業はないから常に同じ顔ぶれ。
無視は連鎖的に広がっていき、私の隣には空き机が置かれていた。
登校しても一日誰とも口をきかず、お昼はひとり部室で食べていた。
学校まで行っても教室に入れないことも度々だった。
辞めてしまいたいと思うこともよくあったけど、辞めていった同級生は見るからにヤンキーばかりで、同じに思われたくなかった。また、私が辞めることでクラスメイトを喜ばせたくなかった。
大学にも行きたかった。こんなのを学生生活の最後にしたくなかった。

だけど、卒業まではとほうもない長さに思えた。
ある日ふと、庭の菫を植木鉢に植え、こっそり教室に置いた。
私は学校に来るんじゃない。この菫に水をやるために学校に来るんだと。

だけど、鉢に植え替えた菫はどんどん元気がなくなっていき、なんだか悪いことをしたような気になった。
またこっそり持ち帰り庭に植え替えると、元通り咲くようになった。
その頃には、私はもうなにがあってもいちいち反応しないふりができるようになっていた。