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ゆきのことを語る

思えば、宗教に誘われたことは多かった
大学に進学して毎朝玄関で挨拶をするようになった、隣のクラスの子から、ある朝これに参加しないかとチラシをもらったのも宗教だった

その後も挨拶はしたけれど、それ以上の付き合いにはならなかった

その後の会社員時代、高校の同級生だった男の子と、少し年上の一時期よく遊んでもらっていた男性が一緒に訪ねてきたことがあった
なぜこの二人が一緒に?と思ったけれど、わけもわからないまま玄関で立ち話に興じた
一時間ほどたった時、今から教会に行こうと言い出した
いきなりやってきて、ゆきが家にいたのは神様の導きだと
私はかたくなに断り、それっきり仲良しだった男性とも音信不通になった

それから数年して彼は自動車事故でなくなった
何度も私を遠くまでドライブに連れていってくれた、運転が好きで自らも整備士をしていた彼だった
亡くなった当時は仕事をやめ、教会の専従者となり布教活動中の車の事故だったと聞いた
彼の神様はそんな彼を連れていってしまったのかと憤りを感じた
葬儀は、彼の信仰に反対していた家族が取り仕切ったが、やってきた幹部は「このたびはおめでとうございます」と言ったと聞いた。
(聞いただけなので真偽は不明)

彼は彼の神様のもとにいったのかもしれないが、残った家族は彼が仕事もやめて入信した理由は自分達にあったのかもと自分達を責めていた。
あれは神様ではないと私は思った。