竹内力を見ると今でもちくんとするのは、新卒で入った会社に、よく似た先輩がいたから。（当時の竹内力よ、念のため）
180を越える長身で、彫りの深い日本人離れした顔立ち、気さくな性格で私はとても好きだった。
きれいな顔をしていると思っていたのは私だけではなくて、大学時代何度もホストにスカウトされていたそうな。
仕送り五万でバイト生活だった彼曰く「すげえ心が動いた」ものの、それをやったら給料十数万の普通の会社員にはなれなくなってしまうと断念。
普通に会社員していたのだけど。

彼のよいところは、自分の外見が標準以上であると知らなかったところ。
女性よりも趣味に走っていて、女性にはまったく感心を持っていなかったところ。
下心を押し隠した私は、よく夕飯食べに行ったり飲みに行ったりして馬鹿話ばかりしていた。

今では彼も結婚して、全くの音信不通になってしまったけど、あのときあと一歩踏み込めていたらどうなっていたかな…などと思う。
いや、同じなんだろうけどね。
手に入らなかったものって美しく見えるじゃないですか。