id:dominique1228
勝手に引用のことを語る

大好きな文章なので再掲。

こんなことは言うのもアホらしいが、愛と平和の名の下に実際の戦争に反対するとか、或いは逆に国家に対する誇りと自信を獲得しようという考えから実際の戦争に賛成するとか、そろそろ戦争が来るぞと平和ボケの大衆に警鐘を鳴らすとか、実際に起こっている世界のどこかの戦争を見てお前らはどう思うんだと問いただすとかいうつもりはさらさら無い。

 そういう人がいても全く構わないが、僕にとっては総て全くどうでもいい。というか、僕にとって戦争とはこうやって反対したり推進したりイデオロギーによってコントロール出来るものなどではなく、ある日突如として不条理にやってきては否応もなく巻き込まれる悪魔的存在で、一度始まってしまったらとにかく命がけで動き回る以外にすることは何もなく、とにかく自然に収束するまではそれが続く。その間には膨大な意思と遂行、その頓挫と混乱が無秩序に繰り返され、死ぬか致命的な負傷を負うか、もしくはかすり傷ひとつなく済む。そういうものだ。戦争はいつか来るだろうが、それがいつで、どうなるかなんて誰にも解らない。軍事アナリストであろうと大統領であろうと役には立たない。僕は戦争をそういうものだと思っている。

(DCPRGに関する二番目の企画書・・・・・・計画の50%. 2000 10/12)より
菊地成孔. スペインの宇宙食. 小学館.