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勝手に引用のことを語る

【社交の上首尾】
 召使いがわたしの外套と防止を差し出した。わたしは自己満足にほてる思いで夜のなかへと歩き出した。「愉快な晩だった」とわたしは思った。「この上なくいい人たちだ。財政とか哲学とかの話に聴き惚れてくれた。豚の鳴き声を真似たときなど腹をかかえて笑ってくれたし。」
 ところがまもなく、「ふん、身の毛がよだつ」とわたしはつぶやいた。「死んだほうがましだ。」
___ローガン・ピアソール・スミス『トリヴィア』(1918)

ボルヘス怪奇譚集(柳瀬尚紀訳)晶文社. p. 120.