【出会い】
ローマに対する憎しみの下で育てられ、ローマを壊滅すべく教育されたので、ハンニバルとハスドルバルの兄弟は、一方は南から、他方は北から、イタリアに侵入した。兄弟は11年間顔を合わせなかった。ふたりは勝利の日にローマで出会う計画だった。しかし執政官ガイウス・クラウディウス・ネロはメタウルス川の堤でハスドルバルを破った。彼はハスドルバルの首を斬って、ハンニバルの陣地へ投げ込むよう命じた。かくてハンニバルはハスドルバルが敗北したことを知った。
___ルイ・ブロラ『マルセーユの関税』(1869)
ボルヘス怪奇譚集(柳瀬尚紀訳)晶文社. p.136.
