[その報告はしなくていいです]
某所で「風が強い」と一言つぶやこうとして、
そのままでは面白みがないし如何にも不躾な感じを和らげようという照れみたいなものもあって、
「風が強いですのお」
と年寄りめいた口調を試みたものの、
待てよ、とある科学のアニメにそんな口癖の少女がはいなかったかと一抹の不安が過ぎる。そんなキャラクターの口真似をしたと誤解されては残念ながら不本意だし、そもそも件のとあるアニメを見ておらず、テキストでしか見た事がない口癖を真似る資格はないように思われた。それで、
「風が強いのお」
「風が強いのん」
「風が強いにゃー」
など語尾を改変するが、その度に奇矯な度合いが増していくように感じられて、挙句、
「風が強いですね」
に至ってはこんな風の強い日に夏目漱石が「I love you」を翻訳してしまったような気恥ずかしさが漂い、途方にくれた。
ここで閃き。
最初のヤツを古語のような仮名遣いにすれば、いやでも老人が春の風に煽られてひとりごちるような具合に聞こえるのではないか。
少なくとも近未来都市の制服美少女の口調には聞こえないのではないか。よし、これだ!
「風が強いですなう」
ああ、違う、そうじゃない。
そうこうしている内に辺りの風は弱まり、「なう」っていつだろうと思い返して、
「風が強い土曜」
と意味のわからないツイートをしました。
