文庫のページをめくる指先がなんとも野暮ったくて、じっと右手を見ますと、昨晩爪切りで切ったつもりでいた爪が伸びたままになっている。記憶と現実の齟齬から一瞬パニックになりかけましたけど、左手の深爪気味な指先に気がついて、ああ爪切りを持ち替える前に集中力が途絶えたのだなと納得がいきました。胡乱な親不孝者です。仮にこれから密室で殺害されるとして、凶弾に倒れた密室の床にたまたま爪切りが転がっていたら、失血で意識をもうろうとさせながら爪を切るだろうと思いますけど、これはダイイングメッセージではないので、捜査関係者ならびに読者諸君におかれましてはミスリードなどなさいませんようお願い申し上げます。
残業(トナカイ)のことを語る
