朝から恥ずかしげもなくシロクマバーを買った私は、コンビニを出ると矢も盾もたまらずアイスの外袋を引き裂き、中の薄っぺらい木の棒切れをつまんで引き抜こうとした。
しかしビニールの内側と板状のアイスの広い面が凍結から密着していたため、木の棒切れを引き抜いた方向とは別の方向に想定外の力が加わり、我がシロクマバーは親指と人差し指の間をすり抜けて地面に向けて滑落したのだった。
この瞬間、私の中に眠っていた甘い物を愛する心が炸裂し、アイスを守るオートスキルが発動する。
これまでに体験した事のないスピードで右腕が下方に伸び、膝ほどの高さでシロクマバーの白い部分を正確に鷲掴みにして、驚くほど器用な手さばきで木の部分に持ち替え、何事もなかったかのようにそれを口に運んだ。
一瞬のことだった。薄っぺらい木の棒切れを握る右手な内側がやけにベタつく。きっと朝の歩行者の往来の中で地面に衝突して四散したシロクマバーを前に立ちすくむよりは、0.25倍かっこわるい程度で済んだ。言い換えれば4倍かっこいい。ただし、いい大人が朝からアイスを食べ歩きするみっともなさは考慮に入れない事にする。
残業(トナカイ)のことを語る
