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残業(トナカイ)のことを語る

「凶悪」観了。

・どぎつい。(褒め言葉)
・2005年に発覚、逮捕者が出た実際の事件がベース。
・記者が事件を追う→過去が次第に浮き彫りになる→長々と過去の事件の全容を見せる→観客が全事実を体感した上で時勢が現在に戻る、というタイプの邦画を今年だけで他に2本観ていてやや辟易していたのだけど、この「凶悪」は時勢の移行が抜群に上手くて、かつ遡って見せつけるだけの意味がある過去でした。
・目を背けたい、こんな物を映像化しやがって、と思わされる過去の凶行シーンをまざまざと見せつけられて、しかし目が離せない、残酷なものをもっと俺に見せてくれ、という内なる欲求も顔を出し、そんな葛藤に苛まれる中、終盤で家庭の問題を顧みず取材に明け暮れる事件記者(山田孝之)に対して妻(池脇千鶴)が呈するこんなセリフがあった。

"たのしかったんでしょ?
こんな狂った事件、必死に追っかけて
あなたは楽しくて楽しくて仕方がなかったの
くやしいけど、私も楽しかったの
怖いもの見たさで
世の中こんな事件あるんだ
こんな怖い人がいる、って
こんな殺され方する…”

この「たのしかったんでしょ?」で心中を見透かされた気がして、嫌な汗をかきました。

・とにかくピエール瀧とリリー・フランキーが怖い。その辺に普通に居そうで怖すぎる。
・拘置所の面会室のシーンが多いのだが、面会室というあの部屋の構造が見ようによってはどちらの側が囚われている側なのかが分からなくなる印象的なラスト。
・「冷たい熱帯魚」に比べるとケレン味が排除されていて、また別種の救いの無さが。
・主人公が家庭に問題を抱えたまま、その問題から逃げるように事件に没頭するというあたりは「39 刑法第三十九条」を思い出しました。