僕やっぱり、人のことを”指導”なんかしたくないんですよね。
僕の好きな映画で「細雪」っていうのがあって、その中で岸恵子さんが大阪弁で
「みんな、ええようになったら、ええなあ」っていうセリフがあるんですよね。
そういうのって、自分はなんにもしないで無責任みたいに聞こえるところって
あるかもしれないけど、愛情だと思うんですよね。
他人ていうものの存在認めちゃったら、そういう形で、距離をおくしかないでしょう?
だから僕は、「みんな、ええようになったら、ええなあ」としか言えないんですよね。
橋本治「青空人生相談所」ちくま文庫 P283-284
