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せきららこのことを語る

見所しかなかったFaOI。

まず華原朋美が凄いよね…何年か前のFNSで復帰後の歌声を聴いた時、一回驚いたんだけど、朋ちゃんが、20年後も、当時と遜色なくむしろそれ以上のレベルで歌えるなんて想像してた?私はしてなかった!

FNSの後、驚いて復帰後のアルバムからいくつか曲を買ったから、1部の曲は全部聞いた事があったし、「夢やぶれて」なんて歌も歌えるんだなと思ってはいたけれど、ステージの前には氷が張られているような決していいとは言えないだろう環境下で、これだけの歌声を聴かせるんだという事に驚いたし20年前と遜色のない高音だけでも凄いのに、広がっているであろう音域、パワーのある声量、安定した歌声。それらが歌に深みと奥行きを与えてたと思う。
歌詞とメロディに説得力とパワーがあって、スケーターのパフォーマンスを引っ張ったり後押ししたり寄り添ったりしてた。まずその圧倒的な表現に涙。スケーターと華原朋美がお互いの技量と表現で高め合ってるって感じ。だって考えても見て下さい。日本の、ポップスの歌手が失礼を承知でいうと元々圧倒的に歌が上手いとか、そういう歌手でもなかった人が、アイスダンスの金メダリストとコラボして、1つも劣らぬ表現をしてるんですよ…長いブランクを経て、こういう表現を手に入れてるんですよ…。私は本当に感動しました。私が聞き齧っている、華原朋美の背景や物語があるから、じゃないですよ…まずその歌とパフォーマンスに。そして、それを手に入れ、維持する努力と覚悟を思ったら、泣けました。

とくに「I'm proud」と「夢やぶれて」が好きでした。「I'm proud」は前半は自分を奮い立たせるようなそして後半は自分を抱きしめ慈しむような歌声で、美姫ちゃんの滑りもそうで例えば歌い出しの「I'm proud」という歌詞で美姫ちゃんは空を仰ぎ祈るように、何かを掴むように片手を伸ばしているように見えて、その後、サビの同じ歌詞では、上げた手を引き寄せるように、そしてそのまま自分を抱き寄せるように見えた所があって、更にぐっと進行方向を見据えてステップがあって、自分と他人と、愛する事にできるだけ誠実にそういう覚悟を持って生きるというのはなんと美しい事よ…と思いました。紆余曲折あってありのままの自分を認め愛する覚悟を持つって、美しい事よね…ありのままの自分を受け止め受け入れ何度でもリスタートする勇気をもちそして愛するって思う以上に難しいじゃないですか…

「夢やぶれて」は、詳細全く覚えてねえ…ただただいいもん見た聴いた、とととと朋ちゃーーーん!!頑張ったんだねええええ、しか覚えてねえ

樋口新葉は、シニアになったんだなあと感じました。今、ジュニアの世代は本当に上手くてジュニアっぽさってあまり感じる事はないんだけど、今回みたいなショーだとどうしても若い世代にジュニアっぽさを感じてしまうことがある。単純に奥行きとか深みとか立体感がない、薄いというような事なんだけど。奥行きとか深みとか立体感っていうのは例えば感情のグラデーションの幅であるとか、機微を救いとる深さ、相反する感情や矛盾を無理なく見せられるか、とかそう言う事かなあと思っているんだけど。樋口新葉の白夜行は、相反する技術を使いこなしてきてるな、と思う所があって。パワーやスピードを出せるのに抑えてる、といった滑りが切なさを生み出してたし、そんな滑りの中ヒュッと入る鋭いジャンプが、あ、この物語は美しく切ない愛だけじゃなくて、残酷で身勝手な物語なんだった、と思い出したりして。

それでその抑えようとしても抑えられないという感じが今の樋口新葉にあってるんじゃないかなと思った。そうなんだよね。この物語自体は子どもたちの物語なんだもんね…同時に「子ども時代を奪われた」子どもたちの話でもあるじゃない?きちんとしなやかに体を使えてるからそういうのも感じられるのよね

とにかく、思いの外ハマってて、今、むしろ個性はこっちじゃないのって思うくらいで。なんせ最初のポーズから似合ってるんだもん。東京PIW、追加しようか迷ったくらい。樋口新葉の白夜行見たさに。

深みや立体感でさすがと感じたのは鈴木明子の黒鳥。禍々しかった怖かった。そして同時に切なくて悲しかった。私、恥ずかしながら、白鳥の湖は子ども用童話を読んだだけで、バレエもザックリ粗筋しか知らんし、そもそもそんな黒鳥って掘り下げられてた印象なくて映画とか山岸涼子とかがモチーフに使って掘り下げてる事はあるんだけど、別に黒鳥は王子を巡る恋のライバルってわけじゃなかったと思うし、単純にロットバルトの娘で悪役なのかな認識なんだけども(違うてたらあれだけどまあそれはよくて)、鈴木明子の黒鳥は王子を誘惑するという意地悪を楽しんでやってるというか、そういう禍々しさね。悪事を暇つぶしにやってる、みたいな禍々しさがあって、でも照明で赤く染まった中、スピンしてるの見てたらば、なんだか急に切なさを感じてしまった。悪魔の娘である事の惑い…?自分のやってる事の虚しさとか哀しさに気づいたかのような。姫川亜弓の、カーミラ的な…

何故そう思ったのか具体的に言えず申し訳ない…だから、勝手にそう思っただけなのかもしれない…映像見たらば何か気付くかもしれない…が。「充たされてなさ」がちゃんとある黒鳥だなあと思ったのだった。で、そのスピンの後、曲が変わって3階席からでもはっきりと鈴木明子の怖い笑顔が見える所がある。あれが禍々しくて怖いのに爽快な笑顔だった。残酷な方に吹っ切った感じ…だから、後半どんどん怖さのボルテージが上がってった感じ…あと、鈴木明子は、2、3回白鳥になった事あるわ。あれは。

織田君の「愛の夢」洗練されている。動いた時の体の線が綺麗。シットスピンが激うま。この愛の夢の愛は、日常の中にある愛を紡いだもののよう。何気ない動きが多いからだろうか。さりげなく、美しく洗練されたものを見せてもらってるからかも。

日常の、すぐそこにある、愛しい人や愛しい日々を慈しむような愛の夢、織田信成のスケートである。大きいなー、とも感じるし親しみもある。それで日常だから、全てで、いとしむ・いつくしむ・かなしむ、「愛」で読む言葉全部あるって感じ。

荒川さんは女神でした。神を前にすると、人は言葉を失うね…「女神…」としか言えねえ

ランビエールは、バランスが凄かった。滑りながら、エッジに乗って、難しいバランスをとって、体のラインを私達が見慣れている・想像できうる形から、ちょっとだけ崩してくるの。その形が本当に洗練されてるの。エッジに乗って滑りながらやるの。ゴージャス。ハッとする。

本当にゴージャスで楽しいショーだった。アクロバットも素晴らしくて。私は女性の、大きなフープを使ったオブビリオンが凄く好きだった。本当に不思議なものを見た。氷の上であの大きなフープと自分の体をコントロールする。フープが生きて意思をもって動いてるように思える事もあれば規則的な動きが、時計や歯車のようなものに見える事もあり…不思議体験でした…ショーとして本当に充実してる。