【点鬼簿】
【全く楽しくない話です、閲覧注意】
で、なんで「ウイークデイには基本呑まない主義」の俺が月曜っから呑んでたかって話ですが。
……帰宅途中。
自宅の最寄り駅に着いたら、改札出たすぐ外側に、立ち並んだ駅員と警官が、掲げたブルーシートで囲いを作っていた。
その中にチラリと見えた、救急隊員の頭らしき白いヘルメットは、心臓マッサージのリズムで激しく上下しており、
その傍らには、別の救急隊員の手が、点滴のパックを掲げている。
ぎょっとして立ち止まった俺の目の前で、暫くその光景は続いていたが、
ふと、ヘルメットの動きが止まったと思うと、そろそろと下ろされたブルーシートの影から、
上に載せた人体らしき膨らみに、頭から白い布を被せてあるストレッチャーが現れて、静かに駅を出ていった。
……この間、たかだか数分くらいだと思うのだけど。
何とも言えないどんよりした気分に襲われた俺は、暫しその辺りをほっつき歩いた挙げ句、どうしてもそのまま家には帰りたくなくなって、近所の小さなバルの扉を開いたのでした。
……顔も名前もなーんにも知らない人だけれど、ご冥福をお祈りいたします。近しい人たちにも、できるだけ早く知らせが届きますよう。
そのくらいしか、祈れねえんだけれどね。
