【引き続き『さまよう小指』ネタバレ注意です】
…自分でも、ハナクソで窒息死するキャラが居るようなこの映画って、深読みするようなもんかー?
とは思わないでもないんですが(苦笑)。
けど、作中でぽつりぽつり桃子の境遇とか過去とか分かるにつれて、
こりゃーあんまり笑ってばっかいられない感じなんじゃねえの、という気がして仕方なくて。
竹葉監督が、多様な読みを許容してくれそうなことをおっしゃっていたのも思い返して、
そんじゃいっちょ、俺としてはとてもベタな感じに解釈しちゃおっかなーと思って書いてみたわけです。
たかがあれだけの理由で涼介を好きになって、
彼を喜ばせようとやった事が失敗していろんな物を(家族も)失い、
それでも振り向いてはくれない涼介を諦め切れずに整形までするって、
桃子の自尊心、ズタズタすぎんだろっつう。
涼介も確かに、自分が楽すること、気持ち良くなることしか考えてない利己的なダメ男で、
だからヤクザにもなり切れなかったんだろうと思うのですが、
奴がたしか「惚れた女は嘘つきばっかだった」とかこぼしてる事考えると、
周囲もそんな調子だったから、じゃあ俺もそうするぜってヒネちゃった面もあるのかなー、とか。
で、そんな涼介のクローンである小指も、別に天使みたいに純粋とは言えないっつーか、
人格のベースは涼介で、そこに「クローンだから製作者の桃子には忠実」
って補正がかかってるだけな気がするんですが(牛乳泥棒するし人のスカート覗くしねえ:笑)、
逆に言うと、他のどんな点がアレでも、「桃子のことを誰より大事に思ってくれる」
ってとこがあったから、それで桃子は「自分は大事にされてもいい存在なのかも知れない」
って思えたんだろうなあ…と。
そんな桃子が、たぶん女の嘘に傷つきつづけてきた涼介に、
「嘘をつくことができない」存在を差し向けて、空に花火を一発上げる、っていうのが、
冒頭の真奈美の台詞とシンクロしてて、きれいに話がまとまってる感じで好きです。
すんごいハッピーエンドとは言えないけれど、なんつーか「平熱に戻った」感じがいい。
…ツダカンさんは映画俳優になりたくて、高校辞めて上京して、
バイトでウェイターやってた喫茶店に来た「世界の北野」にアピールかけたのがきっかけで、
夢をかなえることができた人らしいですが、そういう経歴のせいか、
あんまり予算のないような自主映画でも、
どこか光るものを認めれば出演のオファーを受けてくれたりもするみたいですね。
そういう人なら、現場の人間には相当愛されてるんじゃないでしょうかねー。
「さまよう~」の撮影の時も、初長編の撮影ってことでナーバスになってる竹葉監督を、
「俺たちは百戦錬磨の集団だから任せてください!」とかって励ましたらしいし。カコイイ!
あと、おざりょさんはこの映画の涼介みたいな
「悪に徹するには詰めの甘すぎる&人間味を捨てられなさすぎる、しょーもないダメ男」
の役はわりと似合うような気がします…だから「アキラNo.2」も期待できるんじゃないかと。
どうせなら舞台挨拶見に行っちゃおうかなー、と思ってたりします、
俺今まで「初日舞台挨拶」ってのを見に行けたことがないので。
