で、明日は出勤なので、今日のうちに先週の土曜に見てきた芝居の話を。
若手の(イケメン)俳優中心のキャスト(全員男性)に、日本近代文学の古典的な作品を朗読劇にして演らせる、という『極上文學』というシリーズ企画がありまして、
今回、俺がオキニの松本氏が出る上、作品が夢野久作「ドグラ・マグラ」だっつーんで、何とか取れたチケット握り締めて行ってきましたよ、紀伊国屋サザンシアター。
松本氏は前々回「藪の中」にも出てたんだけど、そっちはチケットが取れず…
で、一言で言うと面白かった、です。
原作は昔何度か読んでまして。本筋の「記憶喪失の青年は誰なのか、彼が関係した事件の全貌は?」
みたいな話に差し込まれる「脳髄論」やら「胎児の夢」やら「キチガイ地獄外道祭文」やらがいちいち長い&インパクトありすぎるので、面白いけど読みにくい話だった記憶があるのですが、
その辺りが大分整頓されて分かりやすくなってた感が。
まあこの「極上文學」、それぞれの役を二人以上のキャストが演じる上、各回ごとにそれらキャストの組み合わせも違ってて、
しかも今回の「ドグラ・マグラ」に限っては、ある回は「起承転結」別の回は「承転結起」と、
話の流れをぐるぐる変えて上演するっつー、これ役者泣かせなんじゃね?的に複雑なことやってたんで、
そういう意味でも話を分かりやすくしとく必要はあったんでしょうが、
おかげで「結起承転」バージョン一度しか見られなかった俺にも話の内容はちゃんと分かりました。
で、キャストでは、正木博士役のブラザートム(!)氏がすげー良かったです。
キャスト組み合わせが発表になった時、トムさんが正木、ってなんか面白そうだと思ったんですが、期待通りのナイス怪演だったかと。外道道祭文読むとことか、ミュージシャンとしての部分も活かしてた感もあり。
松本さんの若林教授はインテリ紳士なのにうさん臭くて良かった……のと、
あと、モヨコの先祖の女性を演じるとこがあるんですが、衣装とかは男(若林)のままなのに、言葉使いや仕草がたおやかな女性のものになってるのがミョーに艶めかしくも、「役者松本、すげー!」って感心したです。
ヒロインの美少女モヨコが女形だったのにも然程の違和感はなく。
つか、正木と若林が同じ女性(呉一郎の母)と三角関係になり、生まれた一郎が正木と若林の研究に翻弄されるって、
あの話そんなホモソ萌え向きにエロい話だったっけ?と、原作を青空文庫で読み返してる俺がいます……
原作だと正木と若林は同期のおっさん同志なんですが(それもそれでいいのですが)、この舞台だと正木役はおっさんで若林役は若手なのでちょっと趣が違う……、
ってここまで書いて、その若林役(の一人)に、ゴーバスで「外見は若造、中身はおっさん」な役演じた松本氏を当てたっつーキャスティングの妙にも、今更膝を打ってみたり。
……脚本家が夢野の父子関係の反映、ってとこを頭に置きながら脚本書いたっぽいあたりも含め、
なんつーか予想以上に楽しめた気がします。
松本さん以外のキャストが違うバージョンも見たかったな。


