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自分(id:spectre_55)のことを語る

あと、なんとなく思い出したんだけど、20年くらい前、俺が大学に行ってた頃に「ワールド・ミュージック」(=英米以外の国のポップス)のブームがあって、マノ・ネグラやら(故)オフラ・ハザやらと一緒に、中国系シンガポール人のディック・リーというソロアーティストもヒットを飛ばしてた。

で、なんか大学の知り合いが彼のライヴ映像を見せてくれたことがあってね。
ライヴ自体はそこそこ楽しいもんだったような記憶があるんだけど、その中で、終盤だったかな、ディックがMCか何かで、「みんな、僕の祖国シンガポールに一度おいでよ、いい所だよ~」みたいな事を言ってたのね(多分)。
で、俺にその映像を見せてくれた人はごくごく素直に、この素晴らしい音楽の作り手が言うならシンガポールは本当に良い国なんだろう、行ってみたいなー!みたいな反応示してたのね。
そんで、俺はといえば。
どっかでちょっと、シンガポールは経済的にはかなりの発展を遂げてるけれど、その事は多民族国家である小さな島国に恩恵だけをもたらした訳ではないらしい……くらいのことは聞きかじっていたせいか、
彼女の反応はあんまりにも素直すぎてなんだかなー、としか思えなくて、なんかそんなような反応を返してしまったのね。

そしたら(案の定というべきか)、「なんでアンタはそうやって物事をいちいち穿った見方でばかり見ようとするのか」
みたいな感じでちょっと怒られて(呆れられて?)しまった、という記憶があるのですけれど。

今それを思い出すに、ほとんどなんも知らない状態なのに、なんか直観で感じるとこがあったのかなあ、ヤングな俺にも、みたいに思えて仕方ない。

そもそも、ディックのアルバムタイトル(「マッド・チャイナマン」)とジャケットの感じ(表面は京劇の俳優のするメイクをしたディック本人の顔、裏面は素顔&裸で膝を抱えているディックの姿)から見ても、なんかこう、アイデンティティに関わる深刻な葛藤の存在、みたいなもんを感じ取れない事もなかった気がするしなー。
他方で、彼が抱えているであろう、母国シンガポールに対する愛着とか愛情自体は本物だと思ったし、それは否定されるべきものだなんて思わなかったけどね。