【何かを】
……俺の大学(文学部しかない女子大)時代に、一般教養過程の化学だったか物理だったかを教えてた先生(確か助教授、中年男性)が、
「理系だと理学部、文系だと文学部ってのは、基本的にお坊っちゃんやお嬢様が入る学部なんです。何故なら、いわゆる"実学"、学んだ事がすぐに何か具体的に物事の役に立つ、って学問ではないから」
「でもね、理学部や文学部がやっているような"机上の空論"は、実学が花を咲かせ実を結ばせる、その根元の土みたいなもんなんです。だから僕は、理学部とか文学部に進もうとする若い人たちが好きだ」
って言ってたのを思い出した。
髪は薄かったけど、ひょろりとした中背の痩身でいつも穏やかな表情と物腰、理学部出ながら大江健三郎を愛読してたというあの先生、まだお元気だろうか。
国公立大の文系学部学科を減らそう、ってニュースを聞いた時に、なんとなく思い出したのだけど。
