そのラストシーンの前、ジョイの巨大な広告に出くわすあたりまで、ほぼ全編に渡ってずーっと「途方に暮れた迷い犬」のような顔をしている(気がする)Kの境遇はひたすら辛いものだけど(そもそも大して持ってないのに、ずっと失い続けてるよね…)、でも何故か彼の事を哀れだとか可哀想だとか言ってしまう事に躊躇している俺がいる。
なんでだろう、最後の最期でほんのちっぽけながらも"尊厳"を手にしていた気がするというか、
ファッキンな人類の奴隷としてでも、レプリカントの同胞の為の殉教者としてでもなく、ただ自分自信の欲する所にだけ従って行動して、自分が焦がれてやまず、しかし手にできなかったものを守ることができたからあの笑顔だった、みたいな気がするから、かなあ。
ロイ・バッティが「雨の中の涙のように」なら、"K"は「掌に落ちる雪のように」、だけど、それを台詞にしたりせずに、あくまで表情とわずかな動作だけに止めたあのラストがやっぱり好きだ。
自分(id:spectre_55)のことを語る
