斎藤史 歌集『秋天瑠璃』読みおわる。
最晩年の歌集なだけに、死後を思う歌とか、病気したとか舌やけどしたとか(笑)、枯れて渇いた部分も見えつつ、日常のこまごました楽しみにフイっと意識が飛んでいく、歌詠みとしての業みたいなものもあって。
イキイキとやさぐれてるっつーのか(?)得体の知れない迫力が生まれる感じがすてき。
ともすればミもフタもねぇー!っていうくらいの写実性でもって、確実に笑いに着地させるのもお見事でした。
「呼吸(いき)の終りに何を思はむ すくなくとも下句未完の短歌にあらず」
「足音をひそめて入りし夜の厨 きのこは昼間より伸びて居り」
「老いてなほ艶とよぶべきものありや 花は始めも終りもよろし」あたりが特に。きのこきのこ。
