id:emuzou は
穴の塞がったえむぞうのことを語る

おそらく私が生まれる前から、父は毎週少年マガジンと少年サンデーを購読していた。
私が小学校に上がるか上がらないかという頃「お前もこういうのも読めるようにならないとな」などと勧められ、私も漫画を読むようになった。
最初に見せられた漫画は、塀内真人(今は夏子)の「フィフティーン・ラブ」というテニス漫画で、女の子(誰かの妹)が交通事故で死ぬ回だった。

小学校に上がり、お小遣いを貰うようになった頃、父が「お前もお小遣いを貰ってるんなら、漫画代を払え。平等にしようぜ」と言い出し、毎週120円弱父に払わなければならなくなった。
小学校時のお小遣いは学年×100だったので、毎週の支払いはお小遣いでは足りないことが多く、お年玉などから補填していた。
当時私は凄まじく馬鹿な小学生だったので、収入が違うのに同じ額を払うのは平等なのかとか父に言い返すことは出来なかった。更に父は「お前を大人と同等に扱ってやってるんだからありがたく思え」とも言っていた。
ギターを習い始めて、毎週ギター教室に通うバス代140円を母が出してくれたので、バスに乗らずに歩いてバス代を浮かし、そこから毎週の漫画代を父に払っていたなーとか思い出した。

勿論、小学生に毎週120円なんて滞りなく払えるわけはなく、お金がなくて払えないときもしばしばあった。そうなると大抵「無駄遣いばっかりしやがって!」と叱られた。
ギターは、練習をしないと父に散々叱られた末に有無を言わさずやめさせられ、それ以降「お前は何にも続かねえ!もうお前には何も習い事はさせねえ!」と宣言され、そのとおりそうなった。
父の目に付くところでギターの練習をしていると「なんだそれは、音楽なのか?」等嫌味を言われ、それに対して怒ると「何の曲だって聞いただけだろ!お前はいつもすぐ怒る!」と叱られたりしていたけど、それはなかった事なのだろう。

今思えば、きちんと働いて収入がある上「うちは男女平等主義だから、生活費も折半だ」という言葉の下、家には「生活費の半分」でなく「給料の半分」を入れ、残りの半分は自分のものとしてキープしておけた、更に洋服代や散髪代は「必要経費」として家計から払わせていた社会人が、小学生から毎週120円を接収して何の得があったのだろう。
ギターに関しては、その後も時々「無駄な金を払わされた」と嫌味を言われたりもしたけれど、金額自体は小さいけれど、誰も得しない毎週の120円の支払いの方がよほど無駄だったんじゃないかな。

そんな風にお小遣いは右(母)から左(父)へ消えていっていたけど、そんな状況でも小学校高学年くらいから少女漫画雑誌を自分で買って読むようになった。
それを父も読んでいたけど、お金は出してくれなかったよ。「あんなくだらねえもん、全部読んでるわけじゃないんだから払う必要はない」ってさ。
ほんとにくだらねえな。