id:emuzou は
穴の塞がったえむぞうのことを語る

2010年の全日本といえば、男子は高橋大輔のFSが印象深い。
GPファイナルでの事故の影響もあり、SP4位という非常に厳しい状況。直前の練習を見ても4回転とか一向に決まる気配がない。不調ぶりは目に明らかで「そうか・・・」と思うしかない状況。
それが奇しくも、そのシーズンのFSとシンクロしてしまったように私には見えた。
このシーズンのフリーは、明確なテーマの話は出ていなかったと思うけど、とにかく苦しむ男の姿に見えていた。見ようによって、大切なものを失いそうになって、それに抗っているようにも、何かを振り切りたくてもがいているようにも見えた。
そのPGが、今まさに全日本チャンピオンの座を失おうとしている彼の姿に見事なまでに重なって妙な磁場を生み出していた。
本番の演技での渾身のフリーは、スケーティングは本人の一番いいときのものではないし、ジャンプもいくつか乱れて、技術的にはベストではないけど、それを超えた特別なものだと思った。二度と見られないものを「見てしまった」という気持ちになった。
確か、本人がこのPGについて、心とか魂とか何かが「出ちゃった」みたいな演技をしたいと言っていたけど、こちらとしては「見ちゃった・・・」みたいなw
競技の演技としてベストではないけど、このPGの演技はこれがベストになるだろうとそのとき予感したし、結果的にこの予感は正しかったと思っている。