挙がっている全てに思い入れがあるわけではないのだけど、アルコールランプ。
ある日の理科の実験の時、アルコールランプに燻されたアスベスト金網(今となっては不穏でしかない名称)から妙な匂いがして、私と同じ班のK子ちゃんの女子二人で「変な匂いがしてるからランプ出すのが怖い」と男子に訴えたら、同じ班のkenちゃんその①は「知らねーよ、さっさと片付けろよ」と意にも介さなかったのを、もう一人のkenちゃんその②(本当に二人同じ名前だった)が「しょーがねーなー」と言って代わりにアスベスト金網の下のアルコールランプを引き出したら火がぶわああっと燃え上って前髪を焦がした。
それでもkenちゃんその②は「いいんだ、今日お母さんに髪切ってもらう予定だったから」と言って危ない仕事を不用意に頼んだ女子二人を責めなかった。
それが私の初恋であった。いや2番目かな。
アレックス･ひでお･シブタニの幼少時代が呼吸を忘れるほどkenちゃんその②にそっくりである。
でも本当は同級生じゃなくて先生に言うべきだったよね。
いや言ったんだけど「前に使ったどこかのクラスの実験で蝋燭のロウがついたんじゃないかな」と言うだけで取り合ってくれなかったんだ。
この理科の先生だったかな。後に実験中の女子生徒の顔に希硫酸がはねたという事件が起きた授業を受け持っていたのは。噂では校長と教頭が揃って彼女の家に謝罪に出向いたとか。
