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勝手に引用のことを語る

発病した兵士たちのゆくえ
 
 戦時振戦は、とりわけ東部戦線の前線兵士たちのあいだであたかも「伝染病が拡がるかのように」蔓延していた。このような拡大を防ぐため、できるかぎり速やかな隔離と強力な電気ショックによる治療が大学精神科医たち(とくにミュンヘン大学精神科教授ブムケ、同助手ミュコライら)によって強く主張された。むろんこうした症状が詐病であった場合には、「責任能力あり」として「転属」が言い渡された。
 電気ショック両方によっても効果が見られないときには、無意識的な兵役拒否者とみなされ、治療の対象からはずされることもあった。一九四四年五月に開催された第四回「戦時精神医学総会」におけるカール・シュナイダーの発言は、そのような兵士たちの行き場所を端的に暗示している。
「治療に対して抵抗を示す者や直る意志のない者には、処罰が与えられてしかるべきである。このような軍人患者を放置しておけば、それをまねて兵役のがれをする者が多数現れ、ひいては国防力の衰退につながる。(中略)それゆえこうした患者はただちに特攻部隊に編入するか、再教育の効果があがるまで強制収容所へ送り込む必要がある」   (pp.61-63, 『精神医学とナチズム』)
  
※シュナイダーの言い様は、今でもよく見聞きするわな。