(前線に立つ精神科医)
(……)軍医の心得は「兵士の名誉心・義務心に訴えかけ戦闘意欲を可能な限り引き出す」こと、などの注意が記されている。
また、詐病(仮病)が判明した場合には、原則として「転属」が言い渡されることになっていた。ナチスは非合法的な殺人をカモフラージュするために、さまざまな隠語をもっていたが、「安楽死」「淘汰」「特別処置」などと並んで、この「転属」もまたその一つであった。「転属」とはすなわち死刑のことである。精神疾患の診断に際して「責任能力」を鑑定するという前述の精神科軍医の役割は、おもにこのような詐病を判別することに向けられていたのである。
勝手に引用のことを語る
