帰りの電車で今日が七夕であるのを思い出した。
小さい頃は学校で作った短冊に願い事を書いて飾っていたりもした。
大人になってからはそんなこともめっきりさなくなった。
願っても叶わないことが多いことを知ってしまうと願うことさえめんどくさくなるのだろうか。
駅を出て夜空を見上げた。梅雨時の天気では星空も見えない。願うことを拒むかのようだ。
ふと、メッセージを受け取った。何気ない会話だった。
思い立って、七夕のことを切り出した。
彦星と織姫は天の川を渡って出逢う七夕の話。よく思うと、雲の上ではいつも出逢えているのではないか。
雲で見えない夜空を見上げて出逢えないと思うことがどうやら杞憂に思えてきた。
近づけないが遠のくこともない。
天の川で隔てた二人は、しかし、重なることもない絶対の距離があっても、いつもいるという絶対の距離が願いを叶えるという信じる力となるのだろうか。
メッセージの最後には星のスタンプがあった。
さて、絶対の距離は織姫と彦星だけのものだろうか。
超短編のことを語る