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あんとわのことを語る

東京都美術館 ”フェルメール展” :
フェルメール作品を実際にこの目で見るというのは、特別な体験だ。
ここ何年かに渡って、来日したフェルメール作品が
京阪神の美術館にくるたび 見に行った。
その それぞれが素晴しく、 忘れ難いものだ。 今回もそう。
フェルメール唯一の宗教画に、唯一の神話画。 どちらも大作。
ほかの作品とは違った雰囲気を醸し出す色彩、月の女神の美しさ。
何年も前に見た『リュートを調弦する女』に会うのは2度目だ。
やはり 今見ても、 窓から入る光、その光がつくる影が美しく、
いろんなことを思い出して 懐かしい感じがする。
『ヴァージナルの前に座る若い女』は、胸に抱えられるほどの
大きさの作品だが、すこし微笑んでいるような表情や、
やさしげな面立ちが見てとれる。
フェルメール作品に多く見られる、女性が身に着けている
黄色いショールの鮮やかさ。 左側の窓から入る光。
その光が カーテンや、家具や、服の襞、様々な物を照らし
つくりだす陰影の なんと美しいことか。
素晴しい絵を見た時味わう あの感覚は、日常生活では
なかなか 味わえないものだ。
素晴しい芸術のもつものは、時間も、与える感覚も、すべて特別。
見ている間は、ほかの いっさいを忘れる。