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美の巨人たちのことを語る

 
そしてまた、この連作は、時間の流れと人の一生のみならず、
アルチンボルドが仕えたハプスブルク家を賛美する寓意もこめられている。
 
四季の自然の恵みは、すべてハプスブルク家の領土で
とれるものであり、その権力を象徴する。
巡り続ける四季は、ハプスブルク家の治世が
永遠に続くようにとの寓意である。
そして、「冬」の、枯木でかたどられた老人が纏うむしろには、
ひそかに "M" が織り込まれており、それは、この連作が
献上されたマクシミリアン2世を表し、年頭、つまり
"1年の最初" である冬に皇帝をなぞらえたのは、皇帝への賛美の気持の表現である。
 
これら込められた寓意に いたく感動した皇帝マクシミリアン2世は、
寄贈品とするために、同じ作品を何度も描かせたという。
ルーヴル美術館にある 『四季』 は、ザクセン選帝侯に寄贈されたものだという。