そのカイユボットが、遺言書に、自らのコレクションを、
リュクサンブールに寄贈し、のちにルーヴルにおさめてほしい、と書いたという。
遺言の執行人に指名されていた画家ルノワールは、
カイユボットの死後、作品をルーヴルにおさめるよう 国にかけあうが、
伝統を誇るルーヴルに、当時まだ 今のように
認められていなかった印象派の絵画を、国はおさめてくれない。
しかし、粘り強く戦った結果、このことは国民からも注目を集め、
国は カイユボットコレクションをおさめざるを得なくなったという。
その、カイユボットの集めた印象派絵画が、
現在の オルセー美術館の所蔵品の基礎となっている。
自ら作品を描きつつ、まだ 世に認められていなかった
頃から 印象派の絵画を買い取り 画家たちを支援し、
美術館の基礎となるほどのコレクションを遺したカイユボット。
カイユボットが いたからこそ、今のオルセーが在るのである。