【祭り求む】

アカデミー賞の日はよかった。

なにしろ、映画ファン的には祭りである。隙を見て結果を追い、時間のある時にそれをハイクなどに投稿したりするだけで、その間ずいぶんと、余計なことを考えずに済んだのである。特に今回は、大記録が出たり、レオナルド・ディカプリオの受賞が例年を上回る注目を集めたりと、話題に事欠かなかった。そういうのを、ハイクなどになんだかんだと書いていれば、今考えてもどうしようもないことを今考えずに済んで、じつにちょうどよかったのであるが。

実際、授賞式の当日および翌日ぐらいまでは、かなりよかった。しかしその更に次の日となると、さすがにもう結果など書き尽くしているし、いわば祭りのあと。我に返った途端、ある意味クセみたいなもので、今考えてもどうしようもない事柄の最新のやつについて、ついつい考えてしまう。

最新のやつというのはつまりつい最近の出来事ということである。それが、考えることによって事態が進展するとか、考えることによって何かがどうにかなるとかいうなら、そりゃあどんどん考えればいい。しかしそういうことでなく、“考えたからといって今すぐになんとかなることでもない” “何かするにしてももう少し日を置いてもっと落ち着いたほうがいい” “自分以外の要素も関係する事柄ゆえ、いくら自分が考えたからといってどうにもならないという側面もかなりある” という類のことなのである。だったら、これについて考えまくるよりも、もっと違うことをするほうがいいのでは？ となる。百歩譲って、現時点では特になんともならないこの事柄をわざわざ考える理由があるとすれば、“これを消化するため” ということであろう。しかし今回のこれに関しては、考えて考えて考えまくって消化するより、ほかのことに目を向けてる間に自然と消化していた、という感じのほうがいいような気がするのである。そういう消化の仕方ぐらいでちょうどいい事柄であるような気がする。だから、考えるよりも祭りにうつつを抜かしておくほうがいいのである。

そんなわけで、アカデミー賞の日はよかった。じつにいいタイミングで祭りの日が来た。今は、次の祭りが見つからないからさてどうしようか、というところである。