アントン・イェルチン(1989年3月11日 - 2016年6月19日)

まだ、27歳の若さでした。

その訃報を知ったのは、日本時間6月20日の夜。当初から事件性はないと見られていたとはいえ、信じられないような不慮の事故でした。この事故につながったすべての事柄のうち、なにかひとつでもタイミングがずれていれば。たとえば、家を出る時刻、あるいは帰ってくる時刻が1分や2分ずれただけでも、その日 そのタイミングで、車を降りようという気にならなかったかもしれない。何か、たったひとつのことでも違っていれば、起こらなかったかもしれない。どうしても、そんなふうに思えてならない事故であり、そんな、ちょっとしたことで結果が左右されてしまうような、ひとつ違えば助かったはず、と思えるような事故で亡くなったことは、あまりにも悲劇的でした。

アントン・イェルチンの出演作を最初に見たのは、アンソニー・ホプキンスと共演した「アトランティスのこころ」。まだ子役だった頃の出演作です。少年時代から様々な作品に出演し、その後はスター・トレックシリーズや「ターミネーター4」などの大作、また、ジム・ジャームッシュやジョディ・フォスターら名監督/俳優の作品にも出演。いち映画ファンとして、その前途にとても期待していた若手俳優でした。シリーズ最新作の「スター・トレック Beyond」は日本でも今年10月の公開が決まっているし、5月にアメリカで公開された “GREEN ROOM” の日本公開がいったいいつになるかと、心待ちにしていました。まさか、亡くなってからそれらを見ることになろうとは。

若くても歳を経ていても、悲しいことに変わりはなく、しかし、あまりに やりきれない。