さて、第90回アカデミー賞 当日となりました。
作品賞候補、今年は9本ですが、大方の予想通りの作品ばかりがノミネートされたと思いますが どうでしょう。そんな中でも「ゲット・アウト」「レディ・バード」という、若手が監督した作品が堂々候補入りしたのはすごいなと (この2本ともに、その若手が監督賞にもノミネートされているのもすごい/やはり、監督賞にはベテランがノミネートされる傾向があるように思うので)。「ファントム・スレッド」が入ったことが若干意外という見方もあるようでしたが、なにしろPTA監督 (保護者じゃないよポール・トーマス・アンダーソンだよ) の作品ですし、そんなに意外でもないかな? と。こちら、主演のダニエル・デイ=ルイスが引退宣言しているため、その意味でも注目を集めていると思われます (デイ=ルイス自身も映画に出るたび候補入りから受賞までがいつも確実視されますし今回も当然の如く主演男優賞候補です)。
そして監督賞。私としては、なんと言ってもクリストファー・ノーラン監督の初の候補入りが感慨深いです。そもそも、作品賞が かつての候補作5本から最高で10本という規定に変わったのは、ノーラン監督の「ダークナイト」が、あれだけ高評価を受けても スーパーヒーロー映画であるという作品の性質ゆえ候補入りせず、作品賞候補を選ぶ基準の偏りが指摘され、もっと多様な作品が選ばれるようにと候補作本数が増やされた=要するにダークナイトきっかけで規定が変わった、という記事を読んだことがあります。そんなノーラン監督作品ですが、最高10本選出に変わってから「インセプション」が作品賞ノミネートされたものの監督賞へのノミネートはなく (監督賞候補5人に変わりはないので 作品が候補入りしても本人は候補入りしない監督というのが必ず出てくるわけですが)、「インターステラー」に至っては作品賞も監督賞もノミネートなりませんでした。ノミネートされて然るべき作品であったと私は思っていますが (私の中でノーラン監督最高傑作は 今でも「インターステラー」です)。そして今回「ダンケルク」でようやくノミネート。実際、戦争映画や歴史もの、伝記ものはノミネートされやすい傾向にあるというのも事実ですが、“アカデミーから冷遇されている” と言われてきたノーラン監督のファンとしては胸熱です。
もうひとつ、長年のファンとして感慨深いといえば、ゲイリー・オールドマンの主演男優賞ノミネートも。もう何年見てきたことでしょうか…… あの傑作「裏切りのサーカス」でも主演男優賞にノミネートされましたが、今回はもう受賞するだろうこれは、という流れなので。胸熱です。
ほかにも、どんなによい出来でもアカデミー賞という形では評価されにくいスーパーヒーロー映画 (かつての「ダークナイト」のように) の枠内である「LOGAN/ローガン」が、脚色賞にノミネートされたのも嬉しいのですが。
ではここで軽く予想を。
演技部門は、主演賞はゲイリー・オールドマンとフランシス・マクドーマンド、助演賞はサム・ロックウェルとアリソン・ジャネイと予想。ひとことで言うと、今回はゴールデングローブ賞とまったく同じ結果になるのではないか、と (主演賞のふたりはGG賞ではドラマ部門の受賞者です / GGの主演賞はドラマ部門とミュージカル・コメディ部門にわかれてるので)。
監督賞はギレルモ・デル・トロと予想してます。
そして作品賞。「スリー・ビルボード」と予想してます。人種(あの映画の場合は種族が違いますが)を超えた愛とか そういうメッセージめいたものを受賞結果に反映させたい場合は「シェイプ・オブ・ウォーター」に作品賞がいくかと思いますが、見たこともないような独創的なストーリーと展開という点では「スリー・ビルボード」かなと。思っています。
どうなりますことやら。楽しみですね!