「仮説」がそなえるべき条件
より
(1) 経済性 仮説あるいは前提は、できるだけすくないことが望ましい。(略)
(2) 単純性 仮説あるいは前提は、諸事実を、できるだけ単純に説明できるものであることが望ましい。(略)
(3) 豊富性 ある「仮説系」が、きわめて多くのことがらを説明できるのであれば、その「仮説系」は、「豊富性」をもっているといえる。(中略)公理系は、たんなる仮定であって、矛盾を含まないかぎり、なんでもよいとはされている。しかし、豊富な公理を発見することは、きわめてむずかしく、公理系の選択の自由は、実際上は、ほとんどないも同然である。
(4) 独立性 「公理」あるいは「前提」「仮説」は、たがいに独立でなければならない。(中略)もし、ある公理が、他の公理からみちびきだせるのであれば、それは、「公理」ではなく、「定理」と考えるべきである。
(5) 無矛盾性 「公理」からみちびきだされた諸定理が、たがいに矛盾することがあってはならない。
(6) 適切性 「仮説」あるいは「前提」「公理」は、観察される諸事実を、適切に説明しうるものでなければならない。(中略)「無矛盾性」や「適切性」がみとめられないばあいは、「仮説」「前提」「公理」などといわれるものを修正したり、あるいは、他のものにおきかえたりする必要がある。
(7) 検証性 「仮説」からみちびきだされた諸結果は、できるだけ、検証可能なものであることが望ましい。どのように矛盾がなくても、検証することが不可能な仮説は、科学としての位置をしめえない。(略)