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仲野筆路のことを語る

 牧村朝子さんの新著「同性愛は「病気」なの? 僕たちを振り分けた世界の「同性愛診断法」クロニクル 」も読み終えたので、勢いのあるうちに感想を。
 引き続き、映画「キャロル」のネタバレもあります。

 セクシャルマイノリティとかLGBTとかの話となると、
まず様々なセクシャリティの人がいて、さらにその中にも様々な考えを持った人がいるので、
どうしても、どこかしらから爆撃をくらったり、誰かの地雷を踏み抜いてしまうものだけど、
 牧村さんの以前の著作「百合のリアル」はその辺り、
すごく頑張って配慮されてて、さらに合間合間にマンガが挿入されたり、とても読みやすく構成されて、
これは中学や高校に置いてもいいんじゃないか、むしろ置いた方がいいじゃないかという出来で、本著も安心して購入しました。

 映画「キャロル」は1950年代のアメリカを舞台、
作中でキャロルが臨床心理士や精神科医のカウンセリングや診断等を受けてるシーンがありましたが、
そういったことの時代背景とか、
 某区議の
>(前略)
>レズ・ゲイ・バイは性的指向であるのに対し、トランスジェンダーは性的自認であり、医師の認定が必要である明らかな障害であると言えます。
>(中略)
>レズ・ゲイ・バイは性的指向であり、現時点では障害であるかどうかが医学的にはっきりしていません。
>(後略)
と言った発言や、それに対する石川大我豊島区議の、
>性的指向はほぼ生得的なもので、個人的趣味ではない。誤り。性的指向は選び取れるとの誤解はほんとうに多い。
といったやり取りの背景も、読んで勉強になります。

 マンガはないので前著ほどではないですが、中学生くらいでも、さほど苦もなく読める読みやすさ、
 同性愛について、なんとな~く知ってる、どっかで聞いたことあるといった、ふわふわ~とした知識が、
いつの時代、誰の発言、行動に起因するのか、参考文献付きで載ってて、ふわふわしてた知識がちょっとハッキリしました。
本1冊読んで分かった気になるのも危ないですが、
情報の多さ、巻末の参考文献の多さを見ると、よくこんな読みやすく纏め上げたなと。
これはもう少しでも、小難しく纏められてたら、最後まで読めなかったと思います。

 しかし、19世紀半ばの同性愛非犯罪化しようとしてた、ウルリニスとケルトベニのスタンスの違い(生まれつきだから罰するのおかしい/大人が合意の上で口出しするのおかしい)とか、現在のTwitterとかでも見るよね。
上記の区議の件も含め、書かれてる内容が全般的に未だ過去の話になってないなあと。

 昨今のLGBTブームとかに感心のある方は、百合のリアルと合わせてオススメ出来る本だと思います。