「中にさ、4万円入ってたの。4万だよ!おろしたばっかでさ…」
「うん」
愚痴るのにラーメン屋を選ぶのは、明らかにまちがっていると思う。
「しかもさ!プラチナチケットまで一緒に入ってたんだよ!!あれ取るのにどれだけ苦労したことか……」
「そうかー」
私の丼はあと背脂の浮いたスープを残すのみだ。友人はずずず、と何口目かの麺をすすった。
「ねえ、それもう伸びて…」
「あああああああああ、むかつく!ほんと、どこのどいつだよ!今不幸にならなくても!情けがめぐりめぐるように、恨みもめぐりめぐってそいつに届くよ!今すぐ悪いことするわたし!」
「……うん」
私はできるだけ背脂をよけて、スープを飲んだ。ぬるくてしょっぱい。
「でさ、だから堂々と言うけど、今日おごってよね」
「………」
超短編のことを語る