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超短編のことを語る

はちみつをすくったスプーンが、びんの口から傾いて落ちた。
すんでのところで、手のひらで受け止めたはいいが、はちみつまみれになってしまった。
誰に見られているわけでなし、もったいないのでそのまま口元へ持っていく。
行儀悪く舐め回す姿が、沈黙しているテレビに映った。
熊のようだ。
蜜をすくい続けて手のひらが甘くなったら、あのひとに食べさせてあげよう。