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超短編のことを語る

藤色の闇がずっと続いている。
川は白く、とろとろと流れている。
私は小舟に腰をかけていた。
船頭さんはなく、櫂もないのに、舟はひとりでゆっくりと進んでゆく。
寒くもあたたかくもない。
することもないので、舟に横たわった。
ごつごつしていて寝心地はよくなかったが、まぶたが自然に落ちる。

「ていう夢を見てね。白河夜船ってこういうことか、と思ったわ」