「佃煮でしょ」
袋からツクシを取り出す。
「てんぷら」
ヨモギ。
「で、酢味噌和え」
ノビル。
自転車で20分、春の野でおみやげを刈ってくる。
「キヨちゃん」
ハコベをわっしと掴むと、セキセイインコのえさ箱に盛り付けた。
キヨちゃんははっとしたようにハコベを見ると、止まり木からいそいそと降りてきた。間もなく、ポリポリとリズムよく啄ばむ音が聞こえてくる。
「で、あとは…」
エノコログサを鼻先で振ると、寝入っていたミケは一瞬で目を覚ました。
ポリポリをバックに、ミケが右へ左へ身をよじる。
ヨモギはお団子にしてもいいかもしれない。
ミケがエノコログサの穂を食いちぎっている。
「そうそう、どんどん遊んでちょうだい。せっかくいっぱい摘んできたからさ」
野原の風が吹く。
超短編のことを語る