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超短編のことを語る

信号で立ち止まると、娘が突然私の後ろに回りこんで、ぎゅっとしがみついてきた。
「どうしたの?」
暫くすると、今度は前に回ってきて、泣き出した。
わけがわからず、目線を合わせてゆっくりと尋ねた。
「どうしたの」
「お空が燃えてる」
そのまま、娘の目の高さから空を見上げた。
ビルの上に、赤々とした夕焼け雲が私たちを呑みこむように広がっていた。