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超短編のことを語る

話しこんだまま、夜が明けた。
「春はあけぼの」
夜の果てまでゆきついた私たちは完全に疲弊していた。もう若くないのだ。
「春じゃないし」
それでも一応つっこんでくれる存在は、何とありがたいことか。
「寝る?」
「いや、意味はないよ。もはや」
互いに、焦点の合わない目を合わせる。
変な顔、と思ったが、笑う元気はなかった。
そして、おそらく向こうも同じことを思ったはずだった。