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ハロウィン超短編まつり(>w<)2010のことを語る

時は18世紀頃。

ひとりの男の子がたたずんでいる。死んでから100年程たつだろうか。 もう自分の名前も忘れてしまった。
覚えているのはお腹をすかしていたことだけ。

ふと気づくと、茅ぶき家の前に居た。
ほかのお化けから逃げるうちに、だいぶ東方まで流されてしまったようだ。家の中から少年の声が聞こえる。

一郎 「あ、ナスに割り箸の足を指すなっつーの。」
次郎 「何が違うんだよ。」
一郎 「だから、こうやってカボチャで顔を作るんだよ。」
次郎 「つーかこれバテレンさんの祭じゃねーの。お前怒られるぞ。」

母 「ただいまー。」
一郎 「あ、おかえりなさい。」
次郎 「その男の子どうしたの。」

いつも通りの時間に帰ってきた母が、男の子の手を引いていた。

母 「家の前に座り込んでたんだよ、迷子だと思うから明日庄屋さんち行って相談してくる。
ほらぼーず、今飯つくるから囲炉裏のそばに居な。」

男の子は一言もしゃべらないが、うながされて囲炉裏の近くに腰を下ろした。一郎と次郎は続ける。

一郎 「で、この『ハロイン』を村で流行らすんだよ。」
次郎 「ムリだろ。だいたい盆の送り火とかぶってるじゃねーか。」
一郎 「お前ホント分かってねーな。盆と違って、子供が家々を回るとお菓子がもらえるんだよ。」
次郎 「……そんな理由かよ。」

不安げな表情をたたえていた男の子の、口もとがゆるむ。

次郎 「ほら、ぼーずにも笑われてるじゃねーか、バカ兄貴。」
一郎 「ちがうだろ、賛成して微笑んだんだよ、あほ弟。」
母 「ほらほらやかましいね。3人ともトットと飯くって寝ちまいな。明日も忙しいんだよ。」



その夜、一郎は夢を見た。
ナスの馬にまたがり男の子が空をゆく。先導するは一郎が作ったジャック・オー・ランタン。